南アルプス南部 烏帽子岳(2726m)、前小河内岳(2784m)、小河内岳(2802.0m)、大日影山(2573m)、板屋岳(2646m)、荒川前岳(3068m)、荒川中岳(3083.7m)、荒川東岳(3141m)、小赤石岳(3081m)、赤石岳(3120.5m) 2015年9月19〜22日  カウント:画像読み出し不能

所要時間
9/19 5:30 鳥倉ゲート−−6:20 鳥倉登山口−−7:53 水場−−8:40 山伏峠−−8:47 水場分岐−−8:53 水場 9:02−−9:08 水場分岐(休憩) 9:32−−10:07 烏帽子岳−−10:45 前小河内岳−−11:19 小河内岳(休憩) 11:59−−12:57 大日影山直下−−13:30 板屋岳−−14:05 高山裏避難小屋 14:08−−14:11 水場 14:13−−14:22 高山裏避難小屋(幕営)

9/20 4:50 高山裏避難小屋−−5:15 水場−−6:30 カール下端(ガレ下端)−−7:21 荒川前岳(休憩) 7:40−−7:50 荒川中岳−−8:40 荒川東岳(休憩) 9:02−−9:52 荒川中岳−−9:56 荒川小屋分岐−−10:37 荒川小屋(テント設営) 12:14−−12:37 大聖寺平−−13:27 小赤石岳−−13:35 赤石小屋分岐−−13:51 赤石岳(休憩) 14:45−−14:55 赤石小屋分岐−−15:08 小赤石岳−−15:35 大聖寺平−−15:50 荒川小屋(幕営)

9/21 4:35 荒川小屋−−5:57 荒川前岳(休憩) 6:02−−6:27 カール下端−−7:08 水場−−7:30 高山裏避難小屋(休憩) 8:06−−8:58 板屋岳 9:01−−9:28 登山道を離れる−−9:31 大日影山 9:38−−9:41 登山道−−10:24 森林限界境界で休憩 10:44−−11:16 小河内岳−−11:46 前小河内岳−−12:13 烏帽子岳−−12:40 山伏峠(幕営)

9/22 4:48 山伏峠小屋−−5:19 水場−−6:06 鳥倉登山口(林道)−−6:41 鳥倉ゲート


場所長野県下伊那郡大鹿村
静岡県静岡市
年月日2015年9月19〜22日 3泊4日幕営
天候ほぼ晴れ
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場鳥倉ゲート前に駐車場あり。ただし人気スポットですぐに駐車場は満杯になり、縦列駐車や20分程度歩いた場所にある駐車場の利用となる
登山道の有無あり
籔の有無大日影山山頂と真の板屋岳山頂に登らなければ藪はない
危険個所の有無山伏峠〜板屋岳間は伊那側が崖になった個所があり通行注意
山頂の展望板屋岳、大日影山以外はどこも大展望
GPSトラックログ
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コメント日程、アプローチの都合で鳥倉から赤石岳、荒川三山を往復。好天に恵まれたシルバーウィークの4日間で人が多かった。紅葉は3000m級でピーク手前。


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鳥倉ゲート。駐車場は満杯 SWで林道上までテントあり(初めて見た)
林道上に水が流れるのも初めて見た 林道から見た奥茶臼山
登山口。人がいっぱい 稜線に乗る
樹林の隙間から北を見る 水場
塩川分岐。林道は復活するのだろうか? 三伏峠小屋
テント場はまだガラガラ 水場分岐から水場方向
水場分岐から荒川岳方向 水場。熊よけのラジオあり
稜線鞍部ガレの展望
烏帽子岳〜小河内岳
三伏峠小屋方面
烏帽子岳山頂
烏帽子岳からのパノラマ展望(クリックで拡大)
前小河内岳 前小河内岳山頂
前小河内岳からのパノラマ展望(クリックで拡大)
小河内岳へ向かう 三伏峠へ向かう登山者
振り返る
小河内岳避難小屋分岐 小河内岳避難
小河内岳山頂
小河内岳山頂からのパノラマ展望(クリックで拡大)
高山裏避難小屋を目指す
ガスがかかり始めた 大日影山南側の2530m鞍部
南から見た大日影山 しばし稜線北側を巻く
板屋岳直下 この藪の中が板屋岳山頂
高山裏避難小屋。夏は斜面はお花畑 高山裏避難小屋
水場。標識では30分だが時期によってはずっと近い 沢の源頭
最初の陣地 移動後
翌朝、避難小屋より荒川岳側の水場 井戸沢ノ頭は北斜面をトラバース
ダケカンバ樹林に変わる カールの底。ここからガレを登る
ガレを登り切ったところ。尾根上は切り立って危険なのでカールの底を歩くようだ
稜線南側は大崩壊 荒川前岳へ
尾根上の登山道は北側へ迂回 荒川前岳
荒川前岳からのパノラマ展望(クリックで拡大)
荒川前岳から見た中岳、東岳
荒川前岳から見た木曾御嶽 荒川前岳から見た乗鞍岳
荒川前岳から見た槍穂 荒川前岳から見た立山、劒岳
荒川小屋分岐。まずは悪沢岳(荒川東岳)へ 荒川中岳
中岳避難小屋 中岳避難小屋から見た荒川東岳
荒川東岳への登り。千枚小屋から下ってくる人が多い やっと傾斜が緩む
もうすぐ山頂 荒川東岳山頂
荒川東岳から見た荒川中岳、前岳 荒川東岳から見た赤石岳
荒川東岳から見た北アルプス(クリックで拡大)
荒川小屋へ向かう 登山道は稜線東を巻いている
鹿避け柵ゲート(上部側) 鹿避け柵ゲート(下部側)
まだ森林限界 やっと荒川小屋が見えた
沢には水が流れていた 荒川小屋
テント場は分散配置 水場。水量は豊富
テント場。まだ時間が早いので一番乗り
 最初はここにしようかと思った。2張可能  1人用専用スペース発見
素泊まり小屋兼物置らしい 素泊まり小屋右側に赤石岳登山道が続くが分かりにくい
再び森林限界を超えトラバース 大聖寺平
小渋の文字あり 小赤石岳へのまとまった登り
まだ小赤石岳は見えていない 真ん中の盛り上がりが小赤石岳
小赤石岳山頂 赤石岳へ向かう
赤石岳山頂 赤石岳避難小屋
赤石岳からのパノラマ展望(クリックで拡大)
荒川小屋へ向かう 大聖寺平
荒川小屋。テントが増えた 暗い時刻に荒川小屋を出発
日の出 荒川前岳へ
荒川前岳から見た東〜南の展望(クリックで拡大)
荒川前岳から見た北アルプス(クリックで拡大)
鳥倉向けて長い下山開始
カール上部から 小日影山〜大日影山間。鞍部がヤバい
カールを下る ガレ下端
もうすぐ森林限界を割る
森林限界を割ると根曲がりダケカンバ 唯一の鎖場
井戸沢ノ頭北側の水場 高山裏避難小屋テント場その1。一番遠い
高山裏避難小屋テント場その2 高山裏避難小屋テント場その3
高山裏避難小屋テント場その4 高山裏避難小屋テント場その5
高山裏避難小屋テント場その6。一番近い 高山裏避難小屋
避難小屋近くのガレから見た小日影山〜大日影山
避難小屋近くのガレから見た小日影山〜板屋岳
マルバダケブキは枯れ始め シラビソ樹林
板屋岳直下 本当の板屋岳山頂は立ったハイマツ藪
大日影山南鞍部
大日影山北側二重山稜から山頂を目指す 藪は少ない
大日影山山頂 久しぶりにKUMOに遭遇
大日影山山頂の360度パノラマ写真。樹林で展望なし
KUMOのある木から小日影山に続く尾根が始まる
立ったハイマツ
ハイマツが濃いので深追いせず撤退
この鞍部の大日影山側がヤバい個所 2570m峰。大日影山より高く見える
小河内岳へ向かう。ガスが出てきた 小河内岳山頂
前小河内岳方面 烏帽子岳へ下る。ガスが濃くなってきた
烏帽子岳山頂。ガスの中 ガスの層より低くなったようだ
三伏峠小屋テント場。心配だったがかなり空きがある。この後、さらに空きが出た。ここで幕営
端に陣取る 設営完了
夕方はガスったが一時的
最終日 まだ暗い中を鳥倉向けて出発
塩川分岐 水場
林道到着 帰りにこのあんちゃんを乗せて茅野まで行った
自転車で登山口に向かう家族 対岸には鳥倉ゲート駐車場
林道から見た奥茶臼山 鳥倉ゲート到着
西斜面が削られて駐車場が拡大 ゲートから見た大日影山、小日影山


 2015年秋のお彼岸は5月の大型連中と対比してシルバーウィークと呼ばれる五連休。天気は良さそうで出かけるのに最適だが、まだ長野に引っ越した直後でゴタゴタが続いている。できれば近場で済ませたく北アを考えたが、どうも日本海側では初日の天気は悪そう。その点、南に行くほど天気は良さそうなので南ア南部を考えた。5日あるがテントと食料5日分を背負う元気はないので3泊4日で歩けそうな場所を検討、その結果、近年登っていない赤石岳を絡めることにして鳥倉起点で入ることにした。4日あれば赤石まで届くだろう。小渋川のクラシックルートも頭に浮かんだが、今週の平日は雨が続いて増水が予想されたため避けることにした。現に鳥倉林道路上でも通常は乾いている場所で水が流れていたので、たぶん小渋川の水量は多かっただろう。

 初日は高山裏避難小屋まで入り、2日目に荒川三山を登って荒川小屋へ。ここでテントを設営、時間によってはこの日のうちに赤石岳往復。もし時間切れなら3日目に赤石岳を往復し、高山裏で幕営。最終日に鳥倉へ下山。2日目に赤石に登れた場合は3日目は鳥倉まで下山してしまうことも可能だろうが余裕をみて山伏峠で幕営するのがいいだろう。どちらにしても荷物が一番重い初日に高山裏まで歩くのが一番きついだろう。

 長野市から大鹿村までそれなりに距離はあるが東京と比べれば近い。更埴ICで上信越道に入り、長野道経由で中央道に入って松川ICで下りて小渋川沿いを上がって大鹿村へ。鳥倉林道は走り慣れているので問題無し。東京から行くより1時間以上早く到着でき、まだゲート前駐車場には空きがあった。ラッキー。駐車場は西側斜面が新たに削られて拡張されていた。大幅増とは言わないが10台弱は増えたかな。

 空は満天の星空。夜中なのにタクシーが上がってきたり、ゲート奥の林道上にテントが複数張ってあったりと通常の週末とは状況が異なってシルバーウィークの出だしらしい賑わった状況だった。下山するときには路側には縦列駐車の列ができていて、少し離れた駐車余地も満杯だった。

 会社の引越しで肉体疲労があって熟睡。ちょっと寝不足気味で起床した頃には明るくなりかけていた。4日分の食料は重く、さらに冬用シュラフも重かった。塩見日帰り組はとっくに出発しているだろうが、これから出発する登山者の姿も多い。舗装された林道を歩いていると沼津ナンバーの車が上がっていった。山小屋関係者だろうか。ところがその後に何台も車が上がっていく。しかも明らかに登山者と思われる首都圏のナンバー。いつの間にか運用が変わってある時間になるとゲートが開放されるようになったのか? しかし下山時はゲートは締まっていたので実態は不明。上がっていった車全員が関係者なら話がわかるがあの台数ではあり得ないような。車は登山口で人を降ろしてさらに奥に入っていった。話によるとこの上に駐車場があるらしい。

 登山口は20人くらい群がって大賑わい。こちらは休憩するほどの疲労は無いのでそのまま通過、急斜面にかかる。まだ先は長いのでスローペースを保つ。山伏峠に続く尾根に出ればきついアップダウンは終了し、主に横移動に変わって楽になる。もう秋で夏に比べれば気温は下がっているし、樹林帯の北斜面で日差しが無いので大汗をかかずに済む。水場の水量は変わらず。ちょっとだけ水を飲む。ここまで来れば山伏小屋は近い。

 最後の登りをこなせば山伏小屋。さすがに賑わっている。早速テントを設営している人も見られ、多くは塩見岳が目的地だろう。今年は塩見小屋が改築中で営業していないため、日帰り組以外は山伏峠で泊まるしかない。たぶん今日は大混雑だろうな。後から聞いた話ではこの日のテント場は満杯だったそうだ。

 小屋は通過して水場分岐で軽装になって水汲み。特に水量が増えた感じはないが細くはなかった。分岐に戻ってひっくり返って休憩。日差しが暑いくらいだ。数人の登山者が先行していったが塩見方面と比較すれば微々たる人数だろう。

 さあ出発。高山裏までまだまだ長い。越えていくピークは烏帽子岳、前小河内岳、小河内岳、大日影山、板屋岳と続きアップダウンの連続だ。前回ここを歩いたときには最後はヘロヘロだったような。今回はのんびり歩いて体力を温存しよう。

 烏帽子岳へは崩壊が進んだ尾根直上を避けて主に北側を巻きつつ上がっていく。山頂付近で森林限界を突破、展望のいい山頂を通過して鞍部へ下って前小河内岳へ登り返し。ここも森林限界を越えて展望ピークだ。天気が良すぎて日向は暑く、麦藁帽子で正解だった。

 またもや鞍部まで下らされて小河内岳へ登り返し。山頂東の緩い斜面には避難小屋がはっきりと見える。水場があれば文句無しなのだが、ここまで水を持ち上げるのなら水無しで高山裏まで歩いても同じくらいの労力かな。

 ハイマツを切り開いた登山道を登りきると小河内岳山頂。ここで横になって大休止。この頃になると2,3パーティーがほぼ同じスピードで前後するようになり、休憩の入れ方で時々順位が入れ替わるが高山裏までほぼ一緒だった。私は歩くのは遅いが休憩しないので、他のパーティーが休憩中に先行し、途中で抜かれるパターンが続いた。

 大日影山は帰りに時間があったら立ち寄ることにして行きはスルー。まだKUMOは生き残っているだろうか?

 板屋岳の標識が立つ場所は正確には山頂ではないが、立ったハイマツに覆われた正確な山頂には既にkumoが無いことは分かっているので往路ではパス。ここから高山裏避難小屋まではほぼ下りでやっと苦しい登りから開放される。

 既に枯れたお花畑の斜面のすぐ下が高山裏避難小屋。8月いっぱいで管理人はいなくなるためこの時期は無料。避難小屋に泊まるか幕営するかちょっと悩んだが、どうせ荒川小屋でテントを使うのだし、テントの方が何かにつけ自由度は高いし周囲に迷惑はかからない(こちらが被ることもない)のでテントにした。テント場は数個所あるが下端に近い1人用テントしか張れないスペースを確保。ところが後になって御隣の広いスペースに飯田の賑やかなパーティーの大型テントが出現し、そこで大宴会が始まるとのことでこちらが移動することにした。大型テントが快適に張れる場所は限定されるので、こちらが動いた方がお互いのためだ。さらに下がった場所に移動。こちらも1人用なら快適な場所であった。なお、このパーティーとは翌日朝に荒川東岳を往復して中岳に登り返しているときにすれ違った。

 小屋の裏手の水場は2度ほど使ったことがあるので勝手知ったる場所。小屋の案内では往復30分と書かれていたが、これは渇水期の秋での話。先週の雨の降り方からして夏場と同じもっと上部で水が得られると予想、下っていくと思ったとおり沢に下りてすぐに水がこんこんと湧き出していた。標高差で50mだったから往復15分程度だろう。山伏峠の水場よりは確実に近かった。

 夜間の冷え込みはそれほどではなくダウンジャケットを着て冬用シュラフでは暑いくらいだった。テントの結露は無く快適だった。

 翌朝、まだ暗い時刻に出発。私より15分ほど先行する登山者がいたが追いつけるかな。カールに入るまでは尾根上を歩くことはなくほぼ横移動が続く。途中の水場ではちゃんと水が出ていた。

 シラビソ樹林帯を抜け出て紅葉が始まったダケカンバ帯を斜めに登っていくとカールに出て急なガレ場の登り。登山道はジグザグに切ってあるので足にやさしいが重い荷物が堪える。ここで先行していた2人に追いつき私が僅かに先行する。カール内の草付きはいい感じに紅葉していた。紅葉のピークはたぶん来週だろう。上空は雲が出たり晴れたりで稜線にガスが掛かってる可能性もあるが、まだ前岳到着まで1時間はかかるだろうからそれまでに晴れるかな。

 カールから右手の小尾根に登山道が乗り移る。尾根の南側は大規模な崩壊地で尾根直上はまさに崖っぷち。少しずつ崩壊が進んでいるようで旧登山道がガレに飲み込まれて北側に迂回路ができている個所が数個所あった。ここまで来ると右手には赤石岳。少し雲がかかっている。さて、悪沢岳はどうだろうか。

 肩を越えるとまだ先にはピークがあり、その奥のなだらかな頭が荒川前岳らしい。崩壊地を避けて稜線の北側を巻きながら進み、東海フォレストのおなじみの標識の立つ前岳山頂へ到着。前回来た時にはこの標識は崖っぷちにあったが、設置場所を移動したようで安全圏内に建っていた。中岳は目の前、東岳はその奥に見えているが鞍部まで大きく下る必要がある。赤石方面は少し雲が絡んでいるが荒川は大丈夫だった。

 荒川小屋分岐で大ザックをデポ、身軽になって荒川東岳を往復。荒川中岳から東を見ると鞍部が深い。中岳東直下には中岳避難小屋。高山裏避難小屋は既に営業を終えて本来の無人避難小屋に戻っているが、ここはまだ有人で営業中。ここから鞍部まで大きく標高を落とすが、千枚小屋発と思われる登山者とのすれ違いが多い。山頂は混雑のピークを過ぎていればいいが。

 アタックザックに防寒着と水とちょっとした食料だけなので足は軽く、ぐんぐんと鞍部へ下っていく。東岳への登り返しは急斜面で南側をジグザグに登っていく。ここは西斜面でまだ太陽が当たらず寒いくらい。でも登りだと発熱と釣り合ってちょうどいいくらいだ。ここでも下ってくる登山者がかなり多かった。

 もうすぐ山頂というところまで接近しないと山頂は見えない。大きな岩の重なりを越えると山頂は目の前。思ったよりも人が多い久しぶりの荒川東岳山頂に到着。標高は3141mで槍ヶ岳に次いで国内6番目の高さ。その槍は雲海ギリギリに見えている。もちろん穂高もだ。残念ながら南ア北部は背の高い雲海の中で見えない。

 ここまでいい時間で歩いていて余裕ができそうなので山頂でしばし休憩。入れ替わり立ち代わり千枚岳方面から登山者がやってきたが、その中に荒川東岳が最後の百名山だという夫婦が到着。記念の旗?を掲げて百名山達成の記念撮影していた。これも大型連休ならでわの光景かもしれない。

 休憩を終えて前岳へ引き返す途中、もう少しで中岳避難小屋という地点で、高山裏避難小屋で大型テントを張っていた飯田のパーティーとすれ違った。2時間くらい差があるかな。この感じだと今日は荒川小屋か赤石避難小屋か? 百間洞は時間的にちと厳しそう。便ヶ島へお迎えの車が来るとのことだったので、聖まで縦走だろう。しかし、じつは昨日に便ヶ島への林道が崩れて通行止めとなっていたことを知らなかった。このパーティーがどうなったかも分からない。ただし、携帯電話等でお迎えの場所を変更するのは可能だから、ちょっと遠いが静岡側に下るのもありだろう。

 前岳直下で大ザックを担いで荒川小屋へ向かう。千枚小屋から出発した登山者の列に紛れるように歩く。渋滞するほどではないが登山者数はかなり多めだ。下手をするとお盆の夏山シーズンよりも多かったかもしれない。登山道は稜線上から大きく東を巻くように付いている。これは荒川大崩壊地を避けるためだろう。

 カール上部を横断し小尾根を越えると夏はお花畑の斜面を下っていくが、何と鹿避けの柵が新設されていた。こんなところまで鹿が進出しているらしい。面倒だが2箇所で簡易型ドアを通過する必要がある。しかし、冬場の積雪で壊れないのか心配になるような弱々しさだった。

 小さな沢を横断する個所は以前同様に水が流れていた。通常、秋の渇水期では涸れていると思うが先週平日は悪天が続いた影響か。真夏と違って汗はあまりかかないし水も飲んでいないので素通り。

 やがて眼下に荒川小屋が見えてきた。まだテントはないらしい。そりゃ、まだ10時ちょっと過ぎだからなぁ。千枚小屋や赤石小屋発では通常はここは通過点だし。ここで幕営したのは20年近く前のことで当時の様子は記憶にないため、小屋に到着して幕営手続きを済ませたら幕営地の調査。小屋より一段下がった場所がメインの広いテント場で、下は砂地で条件がいいが、日当たりも良くて昼間は暑すぎるため木陰になる場所を探す。メインのテント場以外に小屋に上がる途中に数個所の小さなテント場があり、そのうち一番目立たず一番狭い1人用専用スペースを確保。ここは最近造成されたようで地面は土で湿るとテントが汚れるが、どうせそのうち汚れるからいいか。冬場の積雪で幹が寝たダケカンバが頭上を覆って日影を作り日中でも快適。そのダケカンバにシュラフやダウンジャケットを引っ掛けて虫干し。 

 水場も記憶から消えていてたがメインのテント場から1分もかからない近い場所にあった。水量は豊富で夏場は水浴びが楽しめそう。この感じだと秋の渇水期でも枯れることはなさそうだ。

 テントに戻って1時間ほど昼寝し正午過ぎに赤石岳向けて出発。私の場合、横になって休むと体力回復がかなり進むのでこの日の第二ラウンドで赤石も可能と考えた。赤石方面は雲がかかっているが天候を悪くするような雲ではなさそうだ。天気予報でも大気の状態は安定しにわか雨の心配無しとのこと。防寒着、水、食料をアタックザックに入れて軽装で出発。想定では往復3〜4時間で、のんびり歩いても暗くなる前に戻ってこられるだろう。

 小屋の道と登山道の区別がつかないため、小屋を出て赤石方面の登山道に入るまでが迷いやすい。一応、案内標識があるが完璧ではなく判断に迷う個所があった。トイレ裏手で登山道に入り、その後はつかの間の急激な登りが終われば大聖寺平まではなだらかな登り。西風が遮られて適度な涼しさだ。下りてくる登山者の姿も多いが私のように赤石方面へ登っている登山者も多い。この時刻にここを歩いていると赤石小屋到着は午後3時を確実に過ぎると思うが。私はもうテントを張り終えているので暗くなる前に戻ればいい。

 大聖寺平からは急な登り。いつかは小渋川から登りたいところだ。上部には登っている最中の行列が見えているが追いつけないだろうと思ったが、こちらは軽装、あちらは縦走装備で荷物の重さの差が効いているようで、肩に到着する前に追いついてしまった。ここから見ると小赤石岳はまだ先で、赤石岳はそのまた先。思ったよりも遠かった。

 しばらく歩いていなかったルートなので赤石小屋分岐は小赤石岳より手前にあると勘違いしていたが、小赤石岳よりも僅かに先だった。残念ながら赤石岳へは鞍部へと下ってから登り返す必要ありで、見るだけで精神的に疲れる。ただし、荒川中岳〜東岳間よりも標高差は少ないのが救いだ。

 赤石小屋分岐を見送って赤石岳への登り。稜線にはガスはかかっていないが周囲は背の高い雲に囲まれて近くの山の姿も見えない方向が多かった。ただし頭上は青空で熱雲による雷雨はなさそうだ。西寄りの風で体を放熱しつつ登りきれば赤石岳山頂。以前からある古い標識の他にいつもの東海フォレストの標識あり。聖岳はたまに雲の切れ間から姿を表す程度だが大沢岳方向は雲の中のまま。でも基本的には晴れているのでいいか。直下の避難小屋東側ではCB無線らしい交信をしている人がいた。この日は何かイベントでもあったのか、交信している局の多くは山の上だった。遠くは香川県まで交信できていてさすが南アだと感じさせた。

 あとはテントに戻るだけなので山頂でしばしのんびり。もう午後3時近いのに入れ替わり立ち代わりで登山者が上がってくる。これから百間洞へ向かうと言う人がいたが、暗くなる前に到着できるかなぁ。夏と違って雷雨の心配が無いので遅くまで行動可能だが、小屋泊まりだと遅い到着は・・・・。

 そろそろいいだろうと荒川小屋向けて下山開始。まだまだ小赤石から赤石小屋へと下り始めたばかりの登山者の姿が多いのにはちょっと驚いた。明るいうちに小屋到着できればいいけど。

 軽装だと下りも速い。ガスが流れている大聖寺平ではここで幕営するらしきパーティーあり。鞍部付近はちょうどハイマツで西風が遮られる場所があって幕営適地があった。この時間から赤石小屋や赤石避難小屋を目指したら真っ暗になってしまうのでやむを得ないだろう。幕営適地は縦走路から離れた場所にあるので迷惑もかからないし目立たない。

 登山道が尾根を離れて東斜面を巻き始める場所まで下っても、まだ荒川小屋方面から登ってくる登山者が。いくらなんでも次の小屋到着が遅すぎないか? 確実に真っ暗な時間帯になるだろうが大丈夫だろうか。長期連休ともなればいろいろなレベルの登山者が入ってきているのだろうけど。

 樹林帯に入って水平区間が終わって高度を下げれば荒川小屋到着。テント場にはいくつもテントが登場、もう隙間が少なくなっているがテント間の間隔が微妙なので詰めれば今の1.5倍くらい入りそうだった。たぶん遅く来た縦走者はテントを張る場所の確保に苦労したと思う。まあ、デコボコだったり斜めだったりと条件が悪い場所ならあったと思うが。こちらは真っ先に場所確保したのでそんな心配は皆無だった。

 メインのテント場からも小屋から少し離れた「別館」状態なので快適な一夜を過ごせた。夜間、風が強まって木がざわついたが、ここはほとんど風が当たることもなかった。気温もそれほど低下せず、冬用シュラフとダウンジャケットでは暑いくらいだった。また、風の影響でテントに露が降りることがなく、テント内部の結露はゼロだった。

 翌朝。本日は下山の始まりの日。おそらく鳥倉まで歩けると思うが食料があと1泊分残っているので鳥倉で幕営予定だ。まだ真っ暗な時刻に出発。樹林帯を登りきって森林限界に出ても前方にはライトは見えないが、振り返れば早くも大聖寺平を過ぎて小赤石の中腹くらいまで上がっている光が見えた。風下側の斜面でも今日は風がやや強く、たぶん稜線に出るともっと強くなりそうだ。

 昨日通過した鹿避け柵を通り過ぎる頃には明るくなってきた。前岳到着前に雲海から朝日が登る。稜線に出ると北寄りの冷たい風が強く半袖では寒すぎるので長袖シャツにダウンジャケットの重装備に変更。手袋は夏に使っていた軍手みたいな断熱性能が高くないものだったが、指先が痛くなるほど冷えてしまった。気温は0℃くらいだったが強風で体感温度は10℃くらい下がっただろう。

 天気予報では今日は曇りだったが、確かに雲は多めだが青空も見えているし昨日と違って雲海の雲の高さは低く北アルプスもばっちり見えていた。昨日よりもずっと遠望は良かった。

 前岳で短時間の写真撮影だけして下山開始。カールに入るととたんに風が弱まって体感温度が上がって生き返る。高度をさらに落とすとほぼ無風へ。稜線の強風が嘘のようだ。カール下降中はまだ登ってくる人はいなかったが、紅葉したダケカンバ樹林で最初の登山者とすれ違って以降はポツポツとすれ違う。みんな高山裏発だろうな。

 高山裏避難小屋に到着すると張ったままのテントが4張りくらい。これは軽装で荒川三山か赤石岳往復に違いない。小屋前のベンチで休んでいると鳥倉方面からやってくる登山者がポツポツと数名。この時刻にここを通過するには常識的には小河内岳避難小屋発のはずだが兵がそろっていて、山伏峠から3時間半でやってきて今日は百間洞まで歩くと言う男性。次は今朝2時に鳥倉発との若者! 荒川三山に赤石をやって明日の夜7時までに東京の自宅にマイカーで戻るとのことで超強行だが、先週は車の運転を含めて日帰りで剱岳早月尾根を歩いた(走った?)とのこと。恐ろしい限りだ。鳥倉方面へ戻る方向では昨日赤石岳で出会った若者が通過。この人も昨日鳥倉発で1泊で荒川三山+赤石岳往復のスーパーマン。朝の高山裏避難小屋ではこんな連中が多く、話が盛り上がった。

 のんびりと休憩を終えて私も出発。彼らのような体力は私の得意分野ではないので身分相応にのんびりと歩く。ただし、私の得意分野である登山道が山頂を通らない板屋岳と大日影山山頂に立ち寄ることにする。

 板屋岳は僅かに東を巻くだけなので距離は短いが立ったハイマツで藪は深い。前回、前々回登ったときもkumoは無かったが、今回もなだらかなピーク周辺を探し回ったがkumoはおろか他に目印は皆無だった。

 大日影山は前回の経験からkumoがある地点へ一番楽に行けるルートは北に伸びる二重山稜の谷を遡ることと分かっていたので、最短距離の東斜面を通過して登山道が尾根に復帰する個所(ここが二重山稜)から斜面に取り付く。一面のシラビソ樹林だが谷は倒木が邪魔なので歩きやすそうな左岸側を緩やかに登る。このルートはkumoが取り付けてあるシラビソまで立ったハイマツの藪漕ぎがないのでとても楽だ。場所によっては何となく獣道があったりするが、地面付近の藪が無いので獣道が無くても自由気ままに歩ける。

 傾斜が無くなって小さな広場に出るとまだkumoが残っていた。ここは小日影山に続く尾根の入口でもありいい目印だ。下山後にネットの地形図を拡大して山頂の標高点の位置を確認したが、東西に並んだ2つの尾根状ピークのうち東側だった。kumoがあるのは西側のピークで、現地で見た感じでは高さはどちらも同じ。紙の地形図で2つの尾根地形を分離できるのか、県境と重なった標高点の位置が読取れるのか不明だが、GPSが無かった当時に正確な山頂を特定するkumo氏の読図能力には感服する。

 私が前回登ったときに残した赤テープは地面に落ちていたので、kumoを木に留めている電線に結び付けておいた。風で千切れても残骸くらいは残るかな。時間があるのでちょっとだけ小日影山への尾根を偵察。出だしは尾根地形が不明瞭で迷いやすい。KUMOの付いているシラビソの横から南へ入るのがコツ。すぐに立ったハイマツ帯に突入。これを登り返す元気は無いのですぐに撤退を決定。ここを下りて最初の鞍部の大日影山側が崖になっているとの話で、大日影山側から下る場合はロープがあった方がいい。

 同じルートを戻って登山道へ。以降は淡々と登山道を歩くだけだ。小河内岳の登りの途中、森林限界ギリギリの日影で一度休憩。時折ガスが稜線を覆うが基本的に天気は良好で、小河内岳山頂で休憩すると森林限界を超えて日影が無く日に焼かれて暑そうだからだ。これ以上はダケカンバからハイマツに生え変わる場所が明瞭に分かているので分かりやすい。休憩中に若者2人と単独女性が鳥倉方向に登っていった。

 休憩を終えて歩き出すとすぐに森林限界を超えてハイマツの切り開きを登るようになる。日差しがあっても西寄りの風が吹き付けて思ったよりも涼しい。おまけに下からガスが上がってきて時々日差しと視界を遮る。ただしその状態は長続きはしなかった。

 小河内岳山頂は休憩無しで通過、先行する若者2人と少し距離を置いて歩いていく。山伏峠付近はここより標高が低いのに濃いガスの中。塩見方面は晴れていて場所によって天候は斑模様。前小河内岳を通過して烏帽子岳手前で2人組を追い越す。この頃にはガスに突入し寒いくらいになった。

 ガレた稜線の北側を巻いて下っていき、枯れたお花畑中央を突っ切って水場分岐へ。しかし先にテント場を目指す。これはテント場の混雑状況が読めないからで、話によると連休初日はここが満杯だったそうで、連休後半の午後にどんな状況になるのか予想困難だった。ただ、今朝ここを出発して塩見岳を往復した登山者はそろそろ戻ってくる時間帯であり、午後の方がテント場が空く可能性だってあった。早く行って場所を確保するか、確保できないようなら鳥倉まで下ってしまうか、はたまた山伏沢へ下って適当に幕営という手段も考えられた。

 問題のテント場だが予想外に空きスペースが多く、塩見岳から戻ってきた登山者がテントを畳んでさらに隙間が空いた。心配は外れてめちゃ込みせずにすんだ。時間的、体力的には一休みして鳥倉へ下山が可能だったが、これなら無理をせずに幕営してのんびりがいい。テント場もしばらくガスに包まれていたが、いつのまにか青空が見えていた。どうやら私が歩いた時間帯が一番天気が悪かったようだ。

 この日の夜は満天の星空で風も無く穏やかな夜だったが、テントにはたっぷりの夜露が付いて内部は結露が酷かった。

 翌朝は鳥倉ゲートまで下山するだけなのでのんびりでいいのだが、習慣でいつもと同じく4時半頃に出発。まだ暗いが1級登山道なので迷う心配は皆無。もう小屋に到着する男性とすれ違い。どこまで行くのだろうか。そこからしばらく間を置いて次の登山者とすれ違い。その後はポツリポツリと上がってくるが、連休終盤で入山者は予想以上に少なかった。林道に出ても登山者は1人だけと静かだった。その1人も下山方向だった。

 林道ですれ違った登山者も少なく、普通の週末よりかなり人は少なめ。でも駐車場はいっぱいだった。この時間に新たに上がってくる車はゼロ。降りてくる登山者もまだいないので静か。

 ここはまだ太陽が稜線に隠れて日影で寒く、朝露で濡れたテントを虫干しするのに適当ではないので日当たりがあるところまで移動することに。尾根が突き出した場所ならもう日が出ているだろう。着替えもせず防寒用に上着を来ただけで走り出し公衆トイレのある展望台を目指していると、なんと鳥倉林道を歩いて下山中の若い男性を発見。皆が駐車しているスペースからかなり離れていてマイカーへ戻る途中とは思えなかった。声をかけると大鹿村のバス停まで歩く予定とのことで、最終的には自宅のある高田馬場まで帰るというので、行きがけ(帰りがけ)の駄賃で茅野まで乗せていくことにした。連休前日に広河原から入って仙塩尾根を縦走し鳥倉へ出たとのこと。鳥倉林道のバスは8月いっぱいで終了し、今は下界まで林道を歩くしかないとのことだった。林道区間だけでも10kmをゆうに越える結構な距離があるはずで、便ヶ島から歩くようなものだろう。おっと、その便ヶ島の林道でも人を拾って茅野まで乗せていったことがあったな。あの時は宇都宮の人だった。

 久しぶりに分杭峠、杖立峠を越えた。本来なら途中で温泉に入りたいところだが時刻が早すぎてどこも営業していないだろう。残念。助手席に話し相手がいるので眠気を覚えることなく茅野に到着。今まではここから東京に向かったが今は自宅は逆方向。松本方面に向かうのは妙な感じだ。塩尻との境界付近の公園でテントとシュラフの虫干し。日差しと風があって短時間で乾燥した。ここから見ると八ヶ岳は雲は少ないが空気の透明度は良くなく霞んでしまっていて、北ア方面は雲の中。もしかしたら雲海の雲で山の上は晴れているかもしれないが。

 市街地で混雑する塩尻〜松本間は高速道路でパスして旧豊科ICで下りて国道19号線を北上、長野に戻った。

 

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